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報道におけるタブー

日本では日本国憲法上、言論の自由・報道の自由が認められており、建前上タブーが存在しない。しかし、実際には諸事情により、マスメディアが特定の事件や現象について報道を控える話題・問題が存在する。
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このような話題・問題が存在する背景には、法的に報道が禁じられているわけではないが、読者や視聴者、企業や団体、他国から抗議・圧力を受けたり、訴訟を起こされたり、物理的ないし経済的な損失を被る危険がある話題についてマスメディアが触れることを避けるためである。キー局や全国紙など広範囲に影響を与えるメディアほどその傾向が著しく、こうした姿勢に対する批判も存在する。

また、それを逆手に取って他社が報道しないことを報じていることを売り物にするマスメディアもある[1]。

具体的なタブー
報道関係者が「○○はタブーです」と公式に言う事はない、つまりそれは存在しない若しくは明確な基準がないので明記できない。

推測・日本におけるタブー
以下ではマスメディアが何らかの事情で報道を控える傾向のある事柄について類型ごとに概観する。あくまで傾向であり、必ずしもすべてがタブーという訳ではない。

日本における報道のタブーについては各個人の思想などによって様々な主張がされており(特に右派・左派、宗派などで)、統一されていない。タブーというものは明示されないものなので統一されないのは当然という見方もある。

記者クラブタブー
日本の報道における最大のタブー。記者クラブとは官公庁や業界団体などに設けられた特定の報道機関でのみ構成された日本独特の組織である。官公庁なども記者クラブのみを対象とした定例の記者会見を開くなど持ちつ持たれつの関係も見られる。

記者クラブに非加盟の報道機関に対しては取材活動が制限されることも多い。また、非加盟の報道機関が記者クラブに新たに加盟するには記者クラブ加盟報道機関の同意が必要で拒否されることも多い。

日本国外の報道機関からは日本の閉鎖性を象徴する制度として有名で度々批判を受けるが、日本国内では大手を中心にほとんどの報道機関がそれらを無視しているため一般の国民の認知度は低い。記者クラブはその官公庁内に記者室とよばれる一角を占めることが許されている。記者室の賃借料は無く、光熱費も官公庁丸抱えであるが、「官公庁の無駄な出費」「税金の無駄遣い」と報道されることは全くない。

マスコミに関するタブー

スポンサー・広告代理店タブー
スポンサーからの広告収入によって事業が成立している民放では、広告媒体として視聴者のレスポンス、消費意欲を損ね得る番組内容は実現し難いのが通例である。

2008年6月1日放送の『新ニッポン人』(テレビ東京)において司会者久米宏は「民放というのは、物が売れない、人々が物を買わない、という番組は非常に難しいんですよね。よくこの番組ができたと思います」と述べた。また、CMを軽視する発言をした乱一世が一時的に番組降板になった例がある。

同じ理由で、マスメディア、特に民間放送や新聞に対して大きな影響力を持っている大口スポンサーや広告代理店の不祥事や雇用環境の問題など、不利な報道を行うことは巨額のCM・広告収入を途絶えさせる事であり、死活問題につながる。但し、いわゆる中小企業や民間放送への影響の小さい企業はこの限りではない。

B-CASタブー
デジタル放送の視聴に必要なB-CASカードはビーエス・コンディショナルアクセスシステムズが独占的に発行しているとの批判が根強いが、同社にはNHK(日本放送協会)や在京キー局系のBS民放局が出資していることからマスコミで取り上げられることは稀であった[3]。

しかし、2008年7月9日の『朝日新聞』が、B-CAS社が設立以来、会社法に違反して財務内容の公告を怠っていたと報じて[4]以来、『ITpro[5]』や『週刊ポスト[6]』、TBSラジオ『ストリーム[7]』でも報じられるようになりタブーとは言えなくなりつつある。

芸能プロダクションタブー
各局のテレビ・ラジオ番組に多数の出演者を送り込んでいる芸能人を多数抱える芸能プロダクションやそこに所属する芸能人の不祥事、スキャンダルは、出演・取材拒否を恐れ、特に東京キー局を中心とした大手マスコミではまず取り上げない。報道される場合においても、本来「容疑者」と表記される部分を、「メンバー」や「司会者」、「プロデューサー」という不自然な表現で済まされることなどが往々にしてある。

なお、このタブーは、民放だけでなく、NHKにも存在する。

晩婚化・少子化タブー
社会学者山田昌弘は、「女性が結婚しないのは高収入男性を求めるため」と題する記事を週刊東洋経済2006年7月1日に寄稿したが、この主題そのものが政治、メディアでは強いタブーであるという[8]。

治安に関するタブー
桜タブー
桜は警察紋章(正確には「旭日章」)に由来する。権力機関である警察は市民生活にも密着し、またその保持する情報の質、量は他機関の比ではない[9]。いくつかの隠蔽し切れなくなった警察不祥事を含め、現在でも様々な“裏”がある可能性は、内部告発などに見るように否定しきれない。

しかし、マスコミがこれを大々的に批判・追及すると、事件取材の際に取材拒否・記者クラブからの締め出しを受ける事などの不利益があることから各社共にこうした問題には及び腰となっている。したがって、この種の取材は差し止めの影響を受けないフリーランスジャーナリストの独擅場となる。

この桜タブーを破った事例として、最近では『北海道新聞』(道新)が2004年1月より行った北海道警裏金事件追及が挙げられる。2年間で1400件の記事が掲載された一連のキャンペーンで北海道警察(道警)は組織的な裏金作りを認め使途不明金約9億6千万円の返還に追い込まれた。

また道新は日本ジャーナリスト会議大賞・日本新聞協会賞・菊池寛賞・新聞労連ジャーナリスト大賞等、各賞を受賞した。

しかし、一連のキャンペーンは道警の報復を呼び取材活動で多くの支障が生じた[要出典]。2006年1月の「道警の泳がせ捜査の失敗で道内に覚醒剤が流入」とした記事は道警への直接取材ができない中、伝聞に基づくものであったため、2005年3月に「不適切な記事」として「おわび」の記事掲載を余儀なくされた。

また、テレビ朝日の『ザ・スクープ』は桶川ストーカー殺人事件の検証報道において埼玉県警察の怠慢捜査が殺人に至った最大の原因であると暴き、徹底追及した結果、ついに警察に非を認めさせることに成功。道新のケース同様数々の賞を受賞したが、この事が原因でテレビ朝日は同様の報道が妨害されるようになった[要出典](現在も同様の報道はしているが、反響が大きいと及び腰になるといわれる)。

更にメインキャスターの鳥越俊太郎が『サンデー毎日』の記者時代にイエスの方舟事件で主宰の千石イエスを匿っていたという過去からか警察庁が総務省を介して番組打ち切りの圧力をかけるようになり、ついには製作元がこれに抗する事が出来ず、ローカル枠格下げを経て放送打ち切りに追いやられたとされている。ただし現在は不定期スペシャルとして継続している。

政治に関するタブー
菊タブー
天皇、皇室に対する批判や悪意ある表現に対する社会的圧力などによるタブー。

人権団体に関するタブー
荊タブー
荊は部落解放同盟の団体旗である荊冠旗に由来する。部落解放同盟をはじめとする一部の同和団体が政府の同和政策に癒着し、同和利権を構成していることについてマスコミが批判できないこと。また、一般的な事件の犯人や関係者が同和関係者であり、事件の本質的な原因として同和問題が関わっている場合であっても同和問題には一切触れず普通の事件のような報道をする傾向がある。

万が一、部落解放同盟をはじめとする同和団体を批判すると部落解放同盟から確認・糾弾などを受け強要や暴力行為の被害に発展する可能性もあるため各社共にこうした問題には及び腰となっている。

だが、21世紀に入ってから、同和対策事業が終わり、部落解放同盟をはじめとする同和団体に関する問題点が徐々に指摘されるようになってきている。

宗教に関するタブー
アーレフタブー
既にアーレフに改称したオウム真理教に関するこのタブーは呼称と報道内容に対するものに分けられる。

呼称に対するタブーとしては、アーレフを報道する際、「オウム真理教(アーレフに改称)」などと必ず旧名称「オウム真理教」を中心にして報道され(単に「オウム」とだけ省略されることもよくある)、「アーレフ」のみまたは「アーレフ(旧オウム真理教)」のように「アーレフ」を中心にして報道することがまずない現象が見られる。アーレフから分派したひかりの輪に対しても「オウム真理教上祐派」のように報道されることがある。

通常、ある団体の名称を旧名称を中心にして呼ぶのは不自然だが、アーレフの場合だけは特例といえる。この背景には、改名後、元から同じ名前で存在するオウム真理教とは無関係の企業・団体が風評被害を受けたことがあることや、改名後もオウム真理教が俗称として使われていることもあるといわれている。

報道内容に対するタブーとしては、“マスコミが視聴者・読者からアーレフを擁護していると非難されることを恐れるあまり、教団を排斥する運動や、信者への微罪逮捕や別件逮捕を問題視して報道することすらタブーになっている”と森達也は指摘している[11]。

鶴タブー
日本における多くのマスメディアが報道や出版において、宗教法人である創価学会に対する批判を控えることを指す。鶴タブーという名称は創価学会がかつて講として属していた日蓮正宗の紋が鶴であることに由来している[12]。

鶴タブーという言葉は1970年代には既にマスコミ界、言論界で広く流れていたという[13] 。鶴タブーの背景にある理由は以下の通り。

創価学会、公明党およびそれに関する団体・信者からの抗議や訴訟などを懸念する。1970年代に創価学会批判本を出版した著者、出版社、取次店、書店などに様々な圧力がかけられた。これは「言論出版妨害事件」として社会の強い批判を浴び、池田大作名誉会長が公式に謝罪している。また、2000年代においても、創価学会を批判した『週刊新潮』などは、機関紙『聖教新聞』や関連企業である第三文明社等が出版する雑誌などで厳しく批判されたり、裁判で訴えられたりしている。
公明党の政治的影響力を恐れているため。特に1999年10月に公明党が与党入りしてから、各誌における創価学会批判が激減したという指摘もある。[14]。
鶴タブーの例外としては1970年代の「言論出版妨害事件」を『しんぶん赤旗』がさきがけてスクープ報道し、他の大手マスメディアもそれに追随したことが挙げられる。また、2003年頃から『週刊新潮』『週刊文春』 『週刊ポスト』などの一部週刊誌が創価学会に対する批判報道を行なっている[15]。[要出典]

在日外国人に関するタブー
在日韓国・朝鮮人タブー
第二次世界大戦後、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)、在日本大韓民国民団、および在日韓国・朝鮮人や彼らを取り巻くいわゆる在日特権や犯罪事件に関して積極的に報道することはタブーとされてきたが、朝鮮総連に関しては北朝鮮による日本人拉致問題が露呈して以降、朝鮮総連などに関しては比較的タブー視されることなく報道されるようになった。

なお、現在でも在日韓国・朝鮮人の犯罪行為に関して本名ではない通名報道を行う報道機関もある(朝日新聞など)。

欧米におけるタブー
ナチス・ヒトラー礼賛タブー
戦う民主主義#ドイツにおける例および言論統制#実例も参照

1933年〜1945年までドイツを支配したヒトラー率いるナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)政権下で引き起こされたユダヤ人へのヘイトクライムにより、世界、特に欧米ではナチスやヒトラーを礼賛する事が徹底的にタブー視、特にドイツでは「扇動法」により禁止されている。

ただし、日本ではこれは強くなかった、それは1980年代まではかなり無頓着にテレビでもヒトラー政権を評価するかのような内容の番組が放映されており、たとえば矢追純一の「ナチスがUFOを作っていた」では、証言者にネオナチでホロコースト否定論者が登場したりしていたことに表れていた。

しかし現在では、1995年に文藝春秋が発行した雑誌マルコポーロの特集記事で「ナチスガス室虐殺はでたらめ」と報道したことは、雑誌の廃刊と花田紀凱編集長の解雇という事態をもたらした(マルコポーロ事件)。

ちなみに、現在でも国家社会主義日本労働者党という団体が存在している。

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2009年02月08日 08:55に投稿されたエントリーのページです。

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